「そうなんですよ。意地を見せているとしか思えません。イノシシのミミズに対するこだわりは極めて強くて、リュウノヒゲもヤブランも庭にあるのですが、冬になって食料が少なくなるまで食べませんでした。線的な行動を取りながら相手のテリトリーのミミズだけを食べるようなのです。先ほど言ったように、ミミズを食べないと体力が落ちるのであれば、相手のテリトリーのミミズを食べるということが確かな攻撃になります。」

「なるほど。野菜畑を猪に荒らされたけど、野菜は食べられなかったという話を聞いたことがあります。ミミズは猪にとって、どうしても必要な食べ物なのかもしれませんね」と町会長。

「実は、泥浴びする場所の少し先にヤブランとリュウノヒゲが生えていて、そこを通って来るのですが、冬になり茶ノ木の向こう側のヤブランやリュウノヒゲを食べるようになっても、簡単に食べられるヤブランを食べようとしないのです。」

「それは不思議ですね。リスクを冒さないで食べられるものがあるのに、わざわざリスクを冒してミミズを食べるのですね」と町会長。

「そうなんですよ。それでイノシシにはミミズが必要不可欠としか考えられないのです。野菜畑は荒らされたけど、野菜は食べられなかったというような事例も、イノシシにはミミズが必要不可欠だから起こるのです。」

「なるほど。植物系の食べ物を食べれば空腹は癒されるけど、ミミズを食べないと体調がおかしくなるとしか考えられませんね」と町会長。

「おっしゃる通りです。来る途中のヤブランの周りにはミミズの匂いがしないのかも知れません。雨水が大量に流れ込むところではありませんから。」

「茶ノ木の向こうに砂利が少し流れ出ているので、雨水は茶ノ木の向こう側に流れ込むのですね」と町会長。

「おっしゃる通りです。あそこはミミズが増えやすい場所なので、ヤブランとミミズの二つの匂いがしたため、掘り起こして食べたのだと推定しています。」

「主食のミミズに副食のヤブランを添えて食べたということですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。寒くなるとミミズが少なくなるので、ヤブランを食べるしかなくなったと推定しています。」

「その時は、現在のように狼の声も2カ所から聞こえ、LEDのライトも庭を設置してあったのでしょうか」と町会長。

「おっしゃる通りです。それに加えて、早朝来ることを考え、超音波害獣撃退器を茶ノ木と茶ノ木の間の隙間に向かって光るように設置しました。」

「なるほど。それでは、茶ノ木の裏まで来たが、ハイゴケを荒して意地を見せることはできなかったのですね」と町会長。

「おっしゃる通りです。」

「しかし、猪は裏庭の砂利を撒いたところを突破して、茶ノ木の裏側に達しているということになりますね」と町会長。

「おっしゃる通りです。夜間は砂利が抑止力にはなりません。冬になると裏庭のLEDライトと2カ所から聞こえる狼の遠吠えだけでは、十分な抑止力にはなりませんでした。」

「超音波害獣撃退器は、夜間も早朝も効果があるのですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。突破された場合は、忌避剤を使うつもりだったのですが、雨が降ると流されたり、土がかぶったり、日光で劣化したりするので、説明書に書いてある通り1カ月持つかどうか裏庭で実験中でした。」

2019/12/11